運送業許可の資金要件

運送業(一般貨物自動車運送事業)の新規許可で、もっとも多くの方がつまずくのが「資金要件」です。「いくら用意すればいいのか」「自己資金は何に使うのか」が分かりにくいためです。このページでは、近畿運輸局の公示基準にもとづいて、所要資金の考え方と注意点を整理します。具体的な金額は事業計画によって変わるため、最終的な試算は無料相談でお手伝いします。

そもそも、なぜ自己資金が必要なのか

運送業は、車両・人員・施設をそろえて継続的に安全な輸送を行う事業です。開業してすぐに十分な売上が立たなくても、当面の運営費をまかなえる体力があることを、許可の段階で確認するために資金要件が設けられています。具体的には、開業に必要な費用を見積もった「所要資金」と、それを確保できていることを示す「自己資金(預金残高)」の両面で審査されます。

ポイント:所要資金は「設備をそろえる費用」だけでなく、「開業後しばらくの運営費(運転資金)」を含めて見積もります。この運転資金部分があるため、思ったより大きな金額になりがちです。

所要資金の内訳(近畿運輸局の公示基準)

所要資金は、次の費目を合計して見積もります。各費目を「どれだけの期間分」計上するかが決まっているのが特徴です。

費目計上する金額の考え方
車両費リースの場合はリース料の1年分。購入の場合は取得価格(一括は取得価格、分割は頭金+1年分の割賦金)。
車両以外の固定資産費
(営業所・車庫など)
借りる場合は賃借料(敷金・権利金・保証金等を含む)の1年分。所有する場合は取得価格(分割は頭金+1年分)。
自賠責保険料1年分。
任意保険料1年分(対人・対物などに対応した適切な保険料)。
租税公課
(自動車税・重量税等)
自動車税・自動車重量税の1年分、および環境性能割。
運転資金人件費・燃料費・油脂費・修繕費・その他を、それぞれ6か月分

出典:近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について」(公示・令和7年8月1日改正)の資金計画の項目を整理。実際の算定は事業計画の前提により変わります。

人件費は6か月分が大きい:運転資金のうち、人件費(役員報酬・従業員給与など)は人数分を6か月分計上します。最低車両数の5両を動かす体制を前提にすると、ここが所要資金全体を大きく左右します。なお人件費は、各都道府県の最低賃金を下回らない水準で見積もる必要があります。

自己資金(残高)の確認方法と注意点

自己資金は、上で見積もった所要資金以上の金額を、申請日から許可日までの間ずっと確保しておく必要があります。一度でも下回ると要件を満たさなくなり、申請の取り下げが必要になることもあります。

近畿運輸局では、申請後しばらくしてから、預金残高証明書の提出を求められる運用です。一般に、申請日時点の残高と、提出を求められた時点の残高の2か所が確認されます。提出時点で所要資金に満たないと、その時点で審査が進められなくなります。審査の過程で別の日付の残高を重ねて求められることもあるため、許可が下りるまでは余裕をもって残高を維持しておくことが大切です。

余裕をもった準備を:審査の過程で所要資金の見積りが増えることもあります。ギリギリの金額ではなく、少し余裕を持たせた残高を確保しておくと安心です。

よくある誤解

「トラック5台を全額自己資金で買わないといけない」

いいえ。車両は所有でなくリースでもよく、所要資金では車両費としてリース料の1年分などを計上します。5台分の車両代を現金で用意する必要はありません。

「会社の純資産(決算書の数字)で判断される」

自己資金は、原則として預金残高証明書で確認します。決算書上の純資産そのものではなく、申請日以降に実際に確保されている残高が見られます。

「申請のときに残高証明を出せばあとは自由に使える」

いいえ。申請日から許可日までの間、所要資金以上の残高を維持し続ける必要があります。途中で大きく引き出すと要件を満たさなくなる場合があります。

「自己資金が少し足りなくても、売掛金などで補える」

近畿運輸局では、売掛金などを自己資金に加算することは原則として認められていません。自己資金は預金残高で確認するのが基本です。不足分を売掛金等で補うことはあてにせず、必要額を預金で確保しておく必要があります。

登録免許税などの実費との関係

所要資金とは別に、許可の取得時には登録免許税12万円がかかります。また、住民票・登記事項証明書・残高証明・車庫前面道路の幅員証明などの取得手数料も実費として必要です。これらは所要資金の見積りとは区別して考えます。各業務の報酬の目安は料金表をご覧ください。

まとめ

資金要件は、(1)所要資金を正しく見積もること、(2)その金額以上の自己資金を申請から許可まで維持すること、の2点が要です。所要資金は運転資金(人件費などの6か月分)を含むため大きくなりがちですが、車両や施設をリース・賃貸にするなど、前提の置き方で必要額は変わります。無理のない資金計画づくりからご一緒します。

あなたの計画では、いくら必要?

車両・営業所・人員の前提をお伺いすれば、所要資金の目安を一緒に試算します。
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※本ページは一般的な解説です。資金要件の算定や残高証明の取り扱いは、事業計画や申請時期、運輸局の運用によって異なる場合があります。最終的な必要額は、管轄運輸局または無料相談でご確認ください。