運送業(一般貨物自動車運送事業)の許可を受けるには、法令や公示で定められた要件をすべて満たす必要があります。この記事では、その要件を「人」「物(車両・施設)」「資金」「法令遵守・賠償」の区分ごとに、近畿運輸局の公示基準にもとづいて詳しく整理します。数値や基準は表とチャートでまとめました。許可全体の流れや費用の概要は、運送業許可の全体像を解説したピラー記事をあわせてご覧ください。
この記事の要点(先に結論)
- 許可基準は法第6条に定められ、具体的な内容は各地方運輸局の公示基準で明らかにされています。
- 要件は「人」「物(車両・施設)」「資金」「法令遵守・賠償」の4区分で捉えると整理しやすくなります。
- 車両は原則5両以上。軽自動車は対象外で、霊柩・一般廃棄物・島しょには特例があります。
- 営業所と車庫の距離は運輸局ごとに異なります(近畿は告示340号の地域区分により10kmまたは5km。大阪府は一部の市郡を除き10kmです)。
- 運転資金(人件費・燃料費・油脂費・修繕費・その他)はそれぞれ6か月分、車両・固定資産・保険・各種税は1年分を所要資金に計上します。
- 自己資金は、申請日以降許可日までの間、常時確保されている必要があります。
- 運行管理者になるための「運行管理者試験」と、役員が受ける「法令試験」はまったく別の試験です。
この記事の目次
許可要件の全体像|根拠は「法第6条+公示基準」
一般貨物自動車運送事業の許可基準は、貨物自動車運送事業法(以下「法」)第6条に定められ、その具体的な運用は各地方運輸局の公示基準(近畿では「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について」および細部取扱)で明らかにされています。要件は多岐にわたりますが、次の4つの区分で捉えると全体像がつかめます。
| 区分 | 主な要件 | この記事の該当章 |
|---|---|---|
| 人 | 欠格事由、運転者の確保、運行管理者・整備管理者の選任、役員の法令試験 | 第2章 |
| 物(車両) | 原則5両以上の事業用自動車、使用権原 | 第3章 |
| 物(施設) | 営業所・休憩睡眠施設・車庫の確保と基準 | 第4章 |
| 資金 | 所要資金の見積りと、自己資金の常時確保 | 第5章 |
| 法令遵守・賠償 | 社会保険等への加入、損害賠償能力(任意保険) | 第6章 |
これらは審査で分けて確認されますが、実際の準備では相互に関係します(たとえば人員が決まらないと資金の人件費が計算できません)。以下、区分ごとに見ていきます。
第2章 人の要件|誰が事業を担えるか
欠格事由|過去の処分などで許可を受けられない場合
法第5条は、一定の場合には許可をしてはならないと定めています。たとえば、1年以上の拘禁刑(懲役・禁錮)を受けて執行終了から5年を経過しない者や、過去に運送事業の許可取消しを受けて5年を経過しない者などです。法人の場合は、その役員のうちに該当者がいるかどうかも確認されます。
根拠条文を見る(法第5条・欠格事由/抜粋)
第五条 国土交通大臣は、次に掲げる場合には、第三条の許可をしてはならない。
一 許可を受けようとする者が、一年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。
二 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者(…)であるとき。
出典:貨物自動車運送事業法 第5条(抜粋・第3号以下は省略)/令和6年改正後
運転者の確保
事業計画を実行できるだけの人数の運転者を、常時選任しておく必要があります。日々雇い入れる者や、2か月以内の期間を定めて使用する者などは、この「常時選任する運転者」にはあたりません。あわせて、勤務時間・乗務時間が、改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)に適合している必要があります。
運行管理者の選任
営業所ごとに、運行管理者資格者証を持つ者のなかから運行管理者を選任します。必要な人数は、その営業所が管理する事業用自動車(被けん引車を除く)の数に応じて決まります。台数を30で割り、小数点以下を切り捨てて1を足した数が必要人数です。
| 事業用自動車の数(被けん引車を除く) | 必要な運行管理者数 |
|---|---|
| 1〜29両 | 1人以上 |
| 30〜59両 | 2人以上 |
| 60〜89両 | 3人以上 |
| 90〜119両 | 4人以上 |
「運行管理者試験」と「役員の法令試験」は別物です運行管理者になるには、原則として運行管理者試験への合格(または一定の実務経験+講習)が必要です。これは、許可申請の過程で役員が受ける法令試験とはまったく別の試験です。役員の法令試験については、役員法令試験対策のご案内と法令試験の解説記事で扱っています。
整備管理者の選任
車両の点検・整備を管理する整備管理者も選任します。整備管理者になれるのは、次のいずれかに該当する人です(道路運送車両法施行規則第31条の4)。
| 類型 | 要件の概要 |
|---|---|
| 実務経験+研修 | 一定の実務経験があり、選任前に地方運輸局長の研修を修了した者 |
| 整備士資格 | 自動車整備士技能検定(3級以上)に合格した者 |
| その他 | 上記に準じるものとして定められた者 |
第3章 車両の要件|事業用自動車
原則5両以上・軽自動車は対象外
営業所ごとに、原則として5両以上の事業用自動車が必要です。車検証の用途欄が「貨物」の自動車が対象で、三輪以上の軽自動車や二輪車は「一般貨物自動車運送事業」の車両にはあたりません。けん引車・被けん引車の保有比率は、最低車両台数を上回る部分については制限されません。
車両数の特例(霊柩・一般廃棄物・島しょ)霊きゅう運送、一般廃棄物運送、島しょ地域での運送は、行動範囲や運送方法が通常の貨物運送と大きく異なるため、最低車両数(5両)の特例が設けられています。これらは「○○運送に限る」といった業務範囲を限定する条件付きで許可されます。
使用権原(自己所有・リース)
車両を使う権利があることを示す必要があります。自己所有のほか、リースの場合は契約期間が概ね1年以上のリース契約書の添付・提示が求められます。
第4章 施設の要件|営業所・休憩睡眠施設・車庫
営業所
営業所には明確な面積基準はありませんが、事業を行うのに適した施設であることが必要で、必要な備品等が備わっていることを写真等で確認されます。使用権原については、次のように扱われます。
| 区分 | 確認方法 |
|---|---|
| 自己所有 | 登記簿謄本等 |
| 借入(賃貸) | 概ね契約期間2年以上の賃貸借契約書。2年未満でも、期間満了時に自動更新される場合は使用権原ありとみなす |
都市計画法などへの適合が必要です営業所・車庫・休憩睡眠施設は、都市計画法・農地法・建築基準法などの関係法令に抵触しないことが求められ、抵触しない旨の宣誓書を提出します。市街化調整区域に営業所を置けるかどうかは判断が分かれやすい論点です。詳しくは市街化調整区域と営業所を扱った記事で整理しています。
休憩・睡眠施設
乗務員が有効に利用できる休憩施設が必要です。睡眠を与える必要がある運行を行う場合には、睡眠施設について乗務員1人あたり2.5平方メートル以上の広さが求められます(睡眠を与える必要のある運行がない場合、この面積要件は求められません)。原則として営業所・車庫に併設します。
関東運輸局には独自の距離規定があります関東運輸局管内では、営業所に併設せず車庫のほうに休憩・睡眠施設を設ける場合、その休憩・睡眠施設と、休憩・睡眠施設を併設しない車庫との距離が10km(東京都特別区、神奈川県横浜市・川崎市に営業所を置く場合は20km)を超えないこととされています。近畿運輸局の公示には、この規定はありません。管轄する運輸局によって基準が異なることに注意してください。
車庫
車庫は、計画するすべての事業用自動車を収容できることが必要です。あわせて、車両と車庫の境界、および車両相互間の間隔が50cm以上確保されていること、他の用途に使う部分と明確に区画されていること、前面道路との関係で車両制限令に抵触しないことも確認されます(これらは近畿・関東の公示に共通する基準です)。
営業所と車庫の距離①|近畿運輸局管内
近畿運輸局管内の距離は、告示340号で2府4県それぞれの市郡ごとに区分されています。とくに大阪府は書き方が他府県と逆で、限られた市郡だけが5kmとされ、それ以外の府内全域が10kmです。「主要都市だけが10km」という理解は誤りなので注意してください。
| 府県 | 10km の地域 | 5km の地域 |
|---|---|---|
| 滋賀県 | 大津市、草津市 | 左記以外の地域 |
| 京都府 | 京都市、宇治市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、乙訓郡、久世郡、綴喜郡のうち田辺町 | 左記以外の地域 |
| 大阪府 | 右欄の市郡を除く府内全域 (例:大阪市、堺市、豊中市、吹田市、箕面市、東大阪市、岸和田市 など) | 貝塚市、泉佐野市、泉南市、豊能郡、泉南郡、南河内郡のうち太子町・河南町・千早赤阪村 |
| 兵庫県 | 神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市、加古郡 | 左記以外の地域 |
| 奈良県 | 奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、生駒市、磯城郡のうち田原本町 | 左記以外の地域 |
| 和歌山県 | 和歌山市、海南市 | 左記以外の地域 |
市町村名は告示当時(平成3年)のものです告示340号は平成3年6月25日のもので、掲げられている市町村名も当時のものです。その後の市制施行や市町村合併により、名称や区域が変わった地域があります。境界付近の物件や、合併等で名称が変わった地域については、思い込みで判断せず、管轄の運輸支局にご確認ください。
根拠を見る(近畿の距離/告示340号・近畿運輸局公示)
■ 平成3年6月25日付け運輸省告示第340号(近畿分/抜粋)
[運輸大臣が定める距離=10キロメートル]
滋賀県(大津市及び草津市に限る。)/京都府(京都市、宇治市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、乙訓郡、久世郡及び綴喜郡のうち田辺町に限る。)/大阪府(貝塚市、泉佐野市、泉南市、豊能郡、泉南郡並びに南河内郡のうち太子町、河南町及び千早赤阪村を除く。)/兵庫県(神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市及び加古郡に限る。)/奈良県(奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、生駒市及び磯城郡のうち田原本町に限る。)/和歌山県(和歌山市及び海南市に限る。)
[運輸大臣が定める距離=5キロメートル]
上記各府県の残余の地域(大阪府については、貝塚市、泉佐野市、泉南市、豊能郡、泉南郡並びに南河内郡のうち太子町、河南町及び千早赤阪村に限る。)
出典:平成3年6月25日付け運輸省告示第340号「自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令第1条第1号の規定に基づき運輸大臣が定める地域及び運輸大臣が定める距離」(近畿運輸局公表資料・別紙1)
■ 近畿運輸局公示(1.(4)車庫/抜粋)
① 原則として営業所に併設するものであること。
ただし、併設できない場合は、平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合すること。
② 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50㎝以上確保され、かつ、計画車両数すべてを収容できるものであること。
出典:近畿運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について」(令和7年8月1日一部改正・近運自貨公示第2号/令和7年8月1日以降に受け付けた申請から適用)
営業所と車庫の距離②|他の運輸局
距離は運輸局ごとに異なります。当事務所が各運輸局の公示・手引で確認できた範囲は、次のとおりです。
| 運輸局 | 距離(直線) |
|---|---|
| 北海道運輸局 | 札幌市に営業所を置く場合10km/それ以外5km |
| 東北運輸局 | 5km(管内一律) |
| 関東運輸局 | 東京都特別区・横浜市・川崎市に営業所を置く場合20km/それ以外10km |
| 北陸信越運輸局 | 新潟県・長野県5km/富山県・石川県10km |
| 中部運輸局 | 10km(管内一律) |
| 近畿運輸局 | 上の表のとおり(10km/5kmの地域区分) |
| 中国運輸局 | 5km |
| 四国運輸局 | 5km |
九州運輸局・沖縄総合事務局についてこの2つについては、当事務所で一次資料(公示・手引)を確認できていないため、本記事にはあえて数値を記載していません。該当地域で検討される場合は、管轄の運輸局・運輸支局にご確認ください。確認が取れ次第、本記事に追記します。
根拠を見る(運輸局別の距離/各局の公示・手引)
■ 北海道運輸局(4.車庫(1)/抜粋)
営業所に併設できない場合は、告示第340号に定められた距離(札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル、札幌市以外の地域に営業所を設置する場合にあっては5キロメートル)以内であること。
出典:北海道運輸局公示第2号「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針」(令和7年8月1日一部改正・公示第28号/同日以降の申請に適用)
■ 東北運輸局(Ⅰ.1.(4)車庫①/抜粋)
ただし、併設できない場合は、平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合(当該営業所からの直線距離が、5キロメートル以内に設置)されるものであること。
出典:東北運輸局公示第39号「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請、事業計画変更認可申請等の処理方針について」(令和7年8月1日一部改正/同日以降の申請・届出に適用)
■ 関東運輸局(自動車車庫/抜粋)
営業所と車庫の距離は運輸省告示第340号に適合しなければなりません。<参考>営業所を東京都特別区、横浜市及び川崎市に設置する場合は20km以内、その他の地域に設置する場合には10km以内。
出典:関東運輸局「一般貨物自動車運送事業 経営許可申請書作成の手引」(令和元年11月1日版)
■ 北陸信越運輸局
当局管内では、新潟県・長野県は直線で5km以内、富山県・石川県は10km以内。
出典:北陸信越運輸局公表の許可申請手引
■ 中部運輸局(Ⅰ.3.自動車車庫(1)①/抜粋)
ただし、併設できない場合は、平成3年運輸省告示第340号(中部運輸局管内においては、営業所から直線で10㎞以内)に適合するものであること。
出典:中運局公示第277号「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について」(令和7年8月7日以降の申請・届出に適用)
■ 中国運輸局(自動車車庫①/抜粋)
原則として、営業所に併設することが必要ですが、併設できない場合、営業所と車庫の距離は直線距離で5km以内に設置しなければなりません。
出典:中国運輸局「一般貨物自動車運送事業 経営許可申請書作成の手引」(令和4年2月)
■ 四国運輸局(1.(4)車庫①/抜粋)
原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は、営業所との距離が5キロメートル以内であること。
出典:四国運輸局 四運自公第10号「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理方針について」(令和7年8月14日一部改正/同日以降の申請に適用)
■ 関東運輸局(休憩・睡眠施設と車庫の距離/Ⅰ.5.(3)抜粋)
営業所に併設されていない場合であって、車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、当該休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10キロメートル(東京都特別区、神奈川県横浜市及び川崎市の地域に営業所を設置する場合にあっては、20キロメートル)を超えないものであること。
出典:関東運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」(令和元年10月1日一部改正/令和元年11月1日以降に受け付けた申請から適用)
第5章 資金の要件|いくら必要で、どう証明するか
ここは準備でつまずきやすい要件です。「事業開始に要する資金(所要資金)」を見積もり、その金額以上の自己資金を確保していることが求められます。所要資金は、次の項目を積み上げて計算します。近畿運輸局の公示では、項目ごとに計上する期間が定められています。
| 項目 | 内容 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 車両 | リースはリース料。購入は取得価格(分割は頭金+1年分の割賦金/一括は取得価格) | 1年分 |
| 車両以外の固定資産 (営業所・車庫など) | 借入は賃借料(敷金・権利金・保証金等を含む)。所有は取得価格(分割は頭金+1年分) | 1年分 |
| 自賠責保険料 | 自動車損害賠償責任保険(共済)料 | 1年分 |
| 任意保険料 | 対人・対物・爆発保険等に対応した適切な保険料 | 1年分 |
| 施設賦課税 | 自動車税・自動車重量税、環境性能割 | 1年分 |
| 運転資金 | 人件費・燃料費・油脂費・修繕費・その他(旅費・水道光熱費・通信費 等) | それぞれ6か月分 |
運転資金は「その他」も含めて6か月分令和7年8月1日改正の近畿運輸局公示では、運転資金(人件費・燃料費・油脂費・修繕費およびその他)を、それぞれ6か月分計上することとされています。人件費は人数分×6か月となるため、最低車両数の5両を動かす体制では、ここが所要資金全体を大きく左右します。人件費は各都道府県の最低賃金を下回らない水準で見積もる必要があります。なお、登録免許税(12万円)は所要資金とは別の実費として扱います。
根拠を見る(資金計画/近畿運輸局・関東運輸局の公示)
■ 近畿運輸局(1.(8)資金計画/抜粋)
① 所要資金の見積りが適切なものであること。
② 所要資金の調達に十分な裏付けがあること、自己資金が所要資金に相当する金額以上であること等資金計画が適切であること。
③ 自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。
イ.車両 購入する場合=分割の場合、頭金及び1年分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格(消費税含む。)/リース契約する場合=リース料の1年分
ロ.車両以外の固定資産 所有する場合=分割の場合、頭金及び1年分の割賦金(…)/借入する場合=貸借料(敷金、権利金、保証金等を含む。)の1年分
ハ.自動車損害賠償責任保険(共済)料 1年分
ニ.一般自動車損害保険(任意保険)料 1年分の金額(…)
ホ.施設賦課税 自動車税、自動車重量税の1年分及び環境性能割
ヘ.運転資金 人件費、燃料費、油脂費、修繕費及びその他のそれぞれ6ヶ月分
出典:近畿運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について」(令和7年8月1日一部改正・近運自貨公示第2号/令和7年8月1日以降に受け付けた申請から適用)
■ 関東運輸局(Ⅰ.8.資金計画/抜粋)
(1) 資金調達について十分な裏付けがあること。
(2) 事業の開始に要する資金(…)の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
ア.車両費 取得価格(分割の場合は頭金及び1ヵ年分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格。)又は、リースの場合は1ヵ年分の賃借料等
イ.建物費 取得価格(…)又は、1ヵ年分の賃借料、敷金等
ウ.土地費 取得価格(…)又は、1ヵ年分の賃借料、敷金等
エ.保険料 自賠責の1ヵ年分、対人賠償自動車保険(任意保険)料の1ヵ年分(…)
オ.各種税 租税公課の1ヵ年分
カ.運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費等の6ヶ月分
(3) 所要資金の全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること。
出典:関東運輸局公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」(令和元年10月1日一部改正/令和元年11月1日以降に受け付けた申請から適用)
近畿と関東で費目の立て方が違います「運転資金は6か月分」「固定資産・保険・税は1年分」「自己資金は申請日から許可日まで常時確保」という骨格は両局で共通です。一方、費目の区分は異なり、近畿が「車両/車両以外の固定資産」とまとめるのに対し、関東は「車両費/建物費/土地費」と分けています。申請先の運輸局の様式・公示に従って作成する必要があります。
※ 対象期間は近畿運輸局の令和7年8月1日改正公示(資金計画)にもとづきます。実際の算定は事業計画の前提や申請時期により変わるため、最新の公示・様式をご確認ください。
自己資金の証明
自己資金は、申請日の時点と、許可(処分)までの適宜の時点の残高証明書などで確認されます。つまり、申請してから許可がおりるまでの間、必要額を常時確保しておく必要があります。預貯金のほか、処分権者の判断により預貯金以外の流動資産を含められる場合もあります。
費用そのものの解説はこちら資金要件の考え方や、費用の内訳については資金要件の解説ページでもまとめています。あわせてご覧ください。
第6章 法令遵守・損害賠償能力
社会保険等への加入
健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など、加入義務のある社会保険等に、加入義務者全員が加入していることが必要です。運輸開始の前に、加入状況を確認する書類の提出が求められます。
損害賠償能力(任意保険)
万一の事故に備えた損害賠償能力として、任意保険等への加入が求められます。近畿の細部取扱では、貨物用の事業用自動車が100両以下の事業者について、原則として次の内容の任意保険等への加入を確保することとされています。
| 賠償の種類 | 保険金額の基準 |
|---|---|
| 生命・身体の損害賠償 | 被害者1名につき、保険金の限度額が無制限であるもの |
| 財産の損害賠償 | 1事故につき、保険金の限度額が200万円以上であるもの |
危険物の輸送を行う場合などは、必要に応じて、その損害を担保できる保険契約に加入する計画があることも求められます。
要件を満たせないときの、よくあるつまずき
準備を進める中で、次のような点でつまずくことがあります。着手前に見通しを立てておくと、後戻りを避けられます。
- 物件が住居用だった:営業所や車庫として使えない用途・立地のことがあります。契約前の確認が重要です。
- 車庫が営業所から離れすぎている:告示340号の距離を超えると認められません。
- 自己資金が申請から許可まで維持できない:一時点だけでなく、常時の確保が必要です。
- 都市計画法などに抵触:特に市街化調整区域は要注意です。
「この物件は営業所に使えるか」「自己資金はいくら必要か」など、個別の状況に応じたご相談を承っています。まずはお問い合わせください。許可取得後の各種手続きについては運送業を営んでいる方向けのページもご用意しています。
