運行管理規程と整備管理規程|どの版を使うか・制定日の書き方を行政書士が解説

運行管理規程と整備管理規程は、どちらも営業所に備え置く義務があります。協会がひな形を配っているので用意すること自体は難しくありませんが、「どの版をダウンロードすればいいのか」「制定日や実施の期日に何を書くのか」で手が止まる方が多いところです。この記事では、実際に配布されている様式をもとに、選び方と書き方を条文で確認していきます。

この記事の要点

  • 2つは別の法律にもとづく別の規程です。運行管理規程は輸送安全規則、整備管理規程は道路運送車両法施行規則が根拠です。
  • 整備管理規程を定めるのは、会社ではなく整備管理者です。条文の主語が違います。
  • 協会の配布方式は2種類あります。完成版を複数配る方式と、基本形に追加条文を足す方式です。混ぜて使うことはできません。
  • IT点呼や自動点呼を行うには、規程に条文を足すだけでは足りません。運輸支局への報告や届出が別に必要で、期限もそれぞれ違います。
  • ひな形の空欄を埋めるだけでは足りません。国土交通省が「形式的に記入することで事足れりとすることのないよう」と明示しています。
目次

運行管理規程と整備管理規程は別の法律の話

この2つは、根拠となる法律が違います。セットで語られることが多いため同じ制度の一部だと思われがちですが、片方は運送事業の法令、もう片方は自動車の法令です。

表1 2つの規程の違い
項目運行管理規程整備管理規程
根拠貨物自動車運送事業輸送安全規則第21条道路運送車両法施行規則第32条第2項
定める義務を負う者一般貨物自動車運送事業者等(事業者)整備管理者
定める内容運行管理者の職務・権限、業務の処理基準整備管理者の権限9項目の執行に係る基準
内容の下限安全規則第20条の業務を処理するに足りる権限施行規則第32条第1項各号の業務

特に重要なのが「定める義務を負う者」の行です。運行管理規程は事業者が定めますが、整備管理規程は整備管理者が定めます。総務が両方まとめて作って終わり、という運用は条文の建て付けと合っていません。この点は第8章で詳しく扱います。

根拠条文を見る

貨物自動車運送事業輸送安全規則

第二十一条 一般貨物自動車運送事業者等は、運行管理者の職務及び権限、統括運行管理者を選任しなければならない営業所にあってはその職務及び権限並びに事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務の処理基準に関する規程(以下「運行管理規程」という。)を定めなければならない。

2 前項の運行管理規程に定める運行管理者の権限は、少なくとも前条に規定する業務を処理するに足りるものでなければならない。

道路運送車両法施行規則

第三十二条第二項 整備管理者は、前項に掲げる事項の執行に係る基準に関する規程を定め、これに基づき、その業務を行わなければならない。

(2026年8月時点の条文)

どの版をダウンロードすればいいか

トラック協会の配布方式は、大きく2種類あります。この違いを知らないと、必要な条文が抜けたり、逆に重複したりします。

  • 完成版型……点呼の方式ごとに、完成した規程を複数配布する(例:神奈川)
  • 追加条文型……基本形を1つ配り、必要な条文を別ファイルで配布する(例:大阪)
図1 実施する点呼と、使う様式の対応 実施する点呼 追加条文型 完成版型 対面のみ 基本形だけ 通常版 IT点呼・遠隔地IT点呼 基本形+条文 IT点呼あり版 遠隔点呼 基本形+条文 遠隔点呼あり版 自動点呼(業務前・後) 基本形+条文 自動点呼あり版 2つの方式を混ぜて使うことはできません

追加条文型は、基本形の中に参照が埋め込まれています

大阪府トラック協会の基本形は、点呼の条文(第15条第6項)にこう書かれています。

「IT点呼・遠隔地IT点呼・遠隔点呼・業務後自動点呼・業務前自動点呼を実施する場合は、追加条文を適用とする」

つまり基本形は、はじめから追加条文と組み合わせて使う設計です。追加条文のファイルにも「運用を行う場合に既存の運行管理規程に追加することとする」と明記されています。

他県の完成版と自県の基本形を混ぜないでください

完成版型の規程は、点呼の条文が本文に組み込まれています。そこへ別の協会の追加条文を足すと、同じ内容の条文が二重になったり、条番号の参照がずれたりします。追加条文には「第16条から第18条に準じ実施すること」のように、基本形の条番号を引用している箇所があるためです。自社が使っている協会の様式で統一してください。

追加条文が必要な点呼と、その手続き

規程に条文を足しただけでは、その点呼を始めることはできません。運輸支局への報告や届出が別に必要で、しかも期限が点呼の種類ごとに違います。ここが最も間違えやすいところです。

表2 点呼の種類ごとの手続き
点呼の種類手続き期限
IT点呼運輸支局長へ報告書事前
遠隔地IT点呼運輸支局長へ報告書事前
遠隔点呼運輸支局長へ届出書実施の10日前まで
事業者間遠隔点呼運輸支局を経由して運輸局へ許可申請等実施の2か月前まで
業務前自動点呼運輸支局長へ届出書実施の10日前まで
業務後自動点呼運輸支局長へ届出書実施の10日前まで

IT点呼には営業所の要件があります

IT点呼は、どの営業所でも始められるわけではありません。追加条文には次の2つの類型が書かれています。

  • Gマークを取得している営業所間で実施する場合
  • Gマーク以外の営業所が、自営業所とその車庫の間で実施する場合。この場合は営業所開設後3年を経過していることが要件になります

また実施時間にも制限があり、1営業日のうち連続する16時間以内とされています。ただし自営業所とその車庫の間で実施する場合は、この制限から除かれます。

巡回指導の評価がIT点呼の継続に影響します

Gマーク以外の営業所がIT点呼を行う場合、追加条文は次の事案が生じたときに速やかに終了報告を行うこととしています。

  • 過去3年間、自社の責に帰する自動車事故報告規則第2条に規定する事故を起こした場合
  • 過去3年間、点呼の違反に係る行政処分または文書警告を受けた場合
  • 適正化実施機関が行う直近の巡回指導において、点呼の項目が「否」であり、総合評価がD・Eであること、または速やかな改善が見込めない場合

変更や終了にも手続きが要ります

始めるときだけでなく、内容を変えるときと終わるときにも手続きが必要です。遠隔点呼と自動点呼は変更しようとするときは事前に、終了しようとするときは遅滞なく届出書を提出します。事業者間遠隔点呼は、変更・終了とも15日以内の届出です。

点呼の方式は、作成する帳票にも影響します

遠隔点呼を実施できる体制があると、長距離運行で中間点呼と運行指示書が必要になるかどうかの判断が変わります。考え方は運行指示書が必要な場合の記事で整理しました。点呼そのものの記録の書き方は点呼記録簿の記事をご覧ください。

表紙に何を書くか|制定日と改正日

ひな形の表紙は、ほぼ全部が空欄です。ここを埋めないまま使っている例が少なくありません。神奈川の適正化機関は、配布ページに赤字で、表紙の制定日・会社名等、運行管理の組織図、本文末尾の実施の期日を必ず記入するよう注意書きを載せています。

運行管理規程の表紙

協会によって項目が少し違いますが、埋めるところは共通です。

表3 表紙の記入欄
書く内容
制定 年月日自社がこの規程を定めた日
改正 年月日直近で自社が改正した日(初回作成時は空欄)
住所事業者の住所
会社名事業者の名称
営業所名または代表者名様式により異なる

協会の「最終改定日」を書き写さないでください

配布されているファイル名に「運行管理規程【最終改定日:令和7年8月15日】」のように日付が入っていることがあります。これは協会がひな形を直した日であって、自社の制定日ではありません。制定日の欄には、自社がその規程を定めた日を書きます。

整備管理規程の表紙には整備管理者名が入ります

整備管理規程の表紙は、運行管理規程と項目が違います。国土交通省の運輸局が配布している例では、次のようになっています。

  • 運送事業者名
  • 整備管理者名
  • 令和●年●月●日
  • 一部改正 令和●年●月●日

整備管理者の氏名が表紙に入るのは、この規程を定めるのが整備管理者だからです。詳しくは第8章で扱います。整備管理者が交代したときは、表紙の氏名も直すことになります。

末尾の「実施の期日」を空欄にしない

規程の最後には、附則として「実施の期日」の欄があります。表紙の制定日は埋めたのに、こちらを見落としている例が多いところです。神奈川の注意書きでも、表紙と並んで名指しされています。

運行管理規程の附則は、次の形になっています。

「本規程は、  年  月  日から実施する。」

整備管理規程も同じ構造で、「この規則は、令和●年●月●日から実施する。」という附則が置かれています。

制定日と実施の期日は役割が違います

制定日は規程を定めた日、実施の期日はその規程を実際に適用し始める日です。条文にはどちらの決め方も定められていないため、同じ日にすることも、周知期間を置いて実施日を後にすることもできます。大切なのは、どちらも空欄にしないことです。

改正したときは3か所を直します

点呼の方式を変えたり、法令改正に合わせて条文を直したりしたときは、次の3か所を忘れずに更新してください。

  • 表紙の改正年月日(制定日はそのまま残します)
  • 末尾の実施の期日
  • 本文の該当条文

組織図と別表を埋める

本文だけ整えて、別添の組織図と別表を空欄のままにしている例があります。これも神奈川の注意書きで名指しされている箇所です。

運行管理の組織図

大阪府トラック協会の様式では、第3条第7号が「運行管理の指揮命令の系統は、別添組織図のとおりとするものとする」と定めており、本文が別添の組織図を参照する構造になっています。組織図が空欄だと、指揮命令の系統が定まっていないことになります。

図2 運行管理の組織図(様式の例) 代表者 営業所長 統括運行管理者 2名以上のとき 運行管理者 運行管理補助者 運転者

役職名は自社の実態に合わせて構いません。大切なのは、誰の指示で誰が動くのかが読み取れることです。営業所長を置いていない会社であれば、その段を省いて差し支えありません。

別表(運行管理者の選任者数)

様式には、車両数に応じた運行管理者の選任者数の別表が付いています。自社の車両数がどの区分に当たるかを確認してください。

表4 運行管理者の選任者数
事業用自動車の車両数(被けん引車を除く)運行管理者数
29両まで1人
30両〜59両2人
60両〜89両3人
90両〜119両4人
120両〜149両5人
150両〜179両6人
180両〜209両7人
210両〜239両8人

以降は、車両数が30両増すごとに運行管理者を1名加算します。

選任義務の例外が別表の注記に書かれています

様式の別表には、次の注記が付いています。

  • 専ら霊柩自動車の運行を管理する営業所、一般廃棄物の収集のために使用される自動車を管理する営業所、一般的に需要の少ないと認められる島しょの地域に存する営業所などで地方運輸局長が認めて公示した営業所については、保有車両数が5両未満である場合、引き続き運行管理者を選任する義務はありません
  • 急便業者が行う急便輸送に係る営業所など、許可等にあたり業務の範囲を限定して行われている営業所についても、一定の確認のうえ、運行管理者を選任する義務がない場合があります

なお、運行管理者を選任したときと解任したときは、運輸支局への届出が必要です。手続きの期限と必要書類は運行管理者・整備管理者の選任届の記事で整理しています。

運行管理規程に書くべきこと

何を書けばいいかは、条文が答えを持っています。輸送安全規則第21条第2項が、運行管理規程に定める運行管理者の権限について「少なくとも前条に規定する業務を処理するに足りるものでなければならない」と定めているからです。

「前条」とは第20条で、運行管理者の業務が22項目にわたって列挙されています。つまり第20条が、そのまま規程のチェックリストになります。

図3 運行管理者の業務(安全規則第20条) 運転者の選任と配置 1号・3号・5号 5号の2 乗務員の状態確認 4号・4号の2 8号(点呼) 指導と監督 6号・7号・7号の2 14号・14号の2・16号 記録の作成と保存 9号・10号・12号 12号の2・13号 施設と機器の管理 2号(休憩・睡眠施設) 11号(運行記録計) 事故と非常時の措置 15号(異常気象時等) 17号(事故防止対策)

22項目の一覧

自社の規程に、次の内容が漏れなく入っているかを確認してください。

表5 運行管理者の業務(安全規則第20条第1項)
業務の内容
1選任された運転者等以外の者を運行の業務に従事させないこと
2休憩または睡眠のための施設を適切に管理すること
3勤務時間・乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従い乗務させること
4安全な運転ができないおそれのある乗務員等を業務に従事させないこと
4の2乗務員等の健康状態の把握に努め、該当する者を業務に従事させないこと
5交替するための運転者を配置すること
5の2特定自動運行を行う場合の保安員の乗務等の措置
6従業員に対する指導および監督を行うこと
7貨物の積載方法について指導および監督を行うこと
7の2運転者等に対する指導および監督を行うこと
8点呼の実施、記録と保存、アルコール検知器の常時有効な保持
9運転者等に業務の記録をさせ、その記録を保存すること
10運行記録計を管理し、その記録を保存すること
11運行記録計で記録できない車両を運行の用に供さないこと
12事故の記録を作成し、保存すること
12の2運行指示書の作成、指示、携行、変更内容の記載、保存
13運転者等台帳を作成し、営業所に備え置くこと
14乗務員等に対する指導・監督・特別な指導と、その記録・保存
14の2運転者に適性診断を受けさせること
15異常気象その他の理由により輸送の安全の確保に支障を生ずるおそれがあるときの措置
16選任された補助者に対する指導および監督を行うこと
17事故防止対策に基づき、従業員に対する指導および監督を行うこと

15号の「異常気象時等における措置」とは

輸送安全規則第11条は、異常気象その他の理由により輸送の安全の確保に支障を生ずるおそれがあるときは、乗務員等に対する適切な指示その他輸送の安全を確保するために必要な措置を講じなければならないと定めています。降雨・降雪・凍結のほか、災害や道路状況の悪化も「その他の理由」に含まれます。

協会の様式では独立した条文が置かれており、気象台・警察・消防機関等との連絡体制の確立、運行の継続・待機・中止の判断、運行中の車両との緊急連絡体制などが定められています。連絡体制を空欄にしたまま運用しないでください。

特別積合せ貨物運送と統括運行管理者は別に定めがあります

第20条には第2項以下もあります。特別積合せ貨物運送を行う場合は、運行の業務に関する基準を作成し、その遵守について指導監督することが加わります(第2項)。また統括運行管理者は、これらの業務を統括します(第4項)。第21条第1項は、統括運行管理者を選任しなければならない営業所について、その職務および権限も規程に定めるよう求めています。

13号は、先に整えた帳票とつながっています

13号の「運転者等台帳を作成し、営業所に備え置くこと」は、規程の中でも独立した条文として置かれているのが通常です。台帳の記載事項そのものは輸送安全規則第9条の5が定めており、規程の条文はそれを引き写す形になります。記載事項10項目の中身は運転者台帳の書き方の記事で整理しています。

整備管理規程を定めるのは整備管理者

整備管理規程の主語は、事業者ではなく整備管理者です。ここが運行管理規程との最大の違いで、実務でも見落とされやすい点です。

道路運送車両法施行規則第32条第2項は「整備管理者は、前項に掲げる事項の執行に係る基準に関する規程を定め、これに基づき、その業務を行わなければならない」と定めています。総務担当者がひな形を埋めて完成、という進め方は、この条文の建て付けと合っていません。

表紙に整備管理者名が入る理由

運輸局が配布している整備管理規程の例では、表紙に運送事業者名と並んで整備管理者名が入ります。定める主体が整備管理者だからです。第4章で触れたとおり、整備管理者が交代したときは表紙の氏名も直すことになります。

事業者がすることと、整備管理者がすること

役割が分かれています。整備管理規程の例では、次のように書き分けられています。

  • 代表者(事業者)……資格要件を備えた者のうちから整備管理者を任命する。選任・変更・解任したときは15日以内に運輸支局等を経由して届け出る。補助者を選任する場合も代表者が任命する
  • 整備管理者……規程を定める。規程の改正または廃止をするときは代表者と十分調整する

整備管理規程の例には「整備管理者は、本規程の改正又は廃止をするときには、代表者と十分調整するものとする」という条文が置かれています。整備管理者が単独で決めるのでも、事業者が一方的に決めるのでもなく、調整して定める形です。

補助者を使うなら、整備管理規程で担保する必要があります

整備管理者は、原則として自ら業務を執行しなければなりません。ただし自ら行えない場合には、運行可否の決定と日常点検の実施の指導等に限って、あらかじめ選任した補助者を通じて執行することができます。

このとき、その条件を満たしていることが整備管理規程により担保されている必要があります。補助者を置いているのに規程に何も書いていない、という状態は避けてください。

整備管理規程に書くべきこと

最低限の内容は、施行規則第32条第1項の9項目です。国土交通省は「当該整備管理規程には、規則第32条第1項各号に掲げる権限に基づく業務が明記されていることが最低限必要」としています。

表6 整備管理者に与える権限(施行規則第32条第1項)
権限の内容
1日常点検の実施方法を定めること
2日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること
3定期点検を実施すること
4日常点検・定期点検のほか、随時必要な点検を実施すること
5点検の結果、必要な整備を実施すること
6定期点検および必要な整備の実施計画を定めること
7点検整備記録簿その他の記録簿を管理すること
8自動車車庫を管理すること
9上記を処理するため、運転者・整備員その他の者を指導し、監督すること

事業用の様式は「運行管理者との連携」が軸になっています

整備管理規程の例には、自家用向けと事業用向けがあります。事業用版は、連絡先が運行管理者になっているのが特徴です。

表7 自家用版と事業用版の主な違い
場面自家用版事業用版
日常の連携代表者と連携運行管理者と連携し、運行計画等を事前に把握
不良箇所があったとき代表者に連絡運行管理者に連絡
車両故障に関係する事故代表者と連絡運行管理者と連絡
日常点検表の確認欄代表者運行管理者(補助者)
整備管理者の研修版により異なる研修に関する条文が置かれている(受講の要件は版により異なる)

運送事業者は、必ず事業用版を使ってください。自家用版を使うと、運行管理者との連携に関する条文がまるごと抜けます。

同じ「事業用」でも版によって条数と内容が違います

整備管理規程の例は、国土交通省が示しているものと、各運輸局が掲載しているものがあり、条数も条文の中身も一致しません。たとえば整備管理者の研修について、国土交通省の例は「運輸局長から研修を行う旨の通知を受けたときは、当該研修を受けなければならない」としているのに対し、運輸局が掲載している新しい例では、新たに選任した者と、最後に研修を受けた日の属する年度の翌年度の末日を経過した者に受講させる、という書き方になっています。

また、古い例は「分解整備」「自動車分解整備事業者」の表記のままですが、新しい例は「特定整備」「自動車特定整備事業者」に改まっており、タイヤ脱着作業や大型車の車輪脱落防止に関する条文も加わっています。できるだけ新しい例を選んでください。

記録の保存期間も規程に書かれています

整備管理規程の例は、点検整備に係る記録の保存期間を次のとおり定めています。

  • 日常点検記録、タイヤ交換・増し締め作業管理一覧表……1年以上
  • 点検整備記録簿およびその写し……点検基準第4条第2項に定める期間以上
  • 臨時整備の記録……点検基準第4条第2項に定める期間以上

大型車を使うなら、車輪脱落防止の条文が必要です

整備管理規程の例には、車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の自動車を使用する場合に限って適用される条文が置かれています。自社でタイヤ交換作業を行う場合の計画的な作業、点検・清掃方法の周知徹底、作業記録、そしてタイヤ交換後50km〜100km走行後のホイール・ナットの増し締めまでを定める内容です。

該当する車両を使っているのにこの条文がない様式を使っていないか、確認してください。

形式的に写すだけでは足りない

ひな形の空欄を埋めれば終わり、ではありません。国土交通省が、整備管理規程についてこの点をはっきり書いています。

整備管理規程は、タイヤ脱着作業等の自家整備作業についても可能な限り具体的に記述されていることが必要であり、施行規則第32条第1項各号に掲げる事項を形式的に記入等することで事足れりとすることのないよう特に留意してください——というのが、国土交通省が示している内容です。

さらに、規程に書くべき権限の範囲についてもこう述べています。第32条第1項各号の業務が明記されていることは最低限必要だが、それに加えていかなる権限を付与するかは使用者の業態等によるものであることから、事業用・自家用の別または使用車両数等の実情をよく考慮すること

整備管理者の解任命令には、規程に直結する事由があります

整備管理者の解任命令が出される事由のうち、次の2つは整備管理規程そのものに関わるものです。

  • 整備管理者が日常点検の実施方法を定めていない、運行の可否の決定をしていない等、整備管理規程に基づく業務を適切に行っていなかったことが判明した場合
  • 整備管理規程の内容が実際の業務に即していない等、業務の遂行状態が著しく不適切な場合

「規程は作ったが運用していない」も、「運用と規程の中身が合っていない」も、どちらも対象になります。

運行管理規程も、業務が増えれば足りなくなります

運行管理規程についても構造は同じです。第21条第2項は「少なくとも前条に規定する業務を処理するに足りるもの」を求めています。第20条の業務が改正で増えたときに規程を直していなければ、その時点で「足りるもの」ではなくなります。

点呼の方式を変えたときも同じです。IT点呼や自動点呼を始めたのに規程が対面のままでは、実態と規程が食い違います。

ひな形が条文に追いついていないことがある

協会のひな形は、改定のタイミングによって条文の最新の文言と差が出ることがあります。ひな形が間違っているという意味ではなく、条文の改正から様式の改定までに時間差があるということです。

運転者台帳の条文が分かりやすい例です

ある協会の運行管理規程(令和7年8月改定)は、運転者台帳の条文を次のように定めています。

  • 見出しは「運転者台帳
  • 記載事項は9項目
  • 免許欄は「運転免許証の番号及び有効期限」

一方、現行の輸送安全規則第9条の5はこうなっています。

  • 見出しは「運転者台帳」(特定自動運行保安員も対象)
  • 記載事項は10号
  • 免許欄は「運転免許証又は道路交通法第95条の2第2項第1号に規定する免許情報記録の番号及び有効期限」

どう対応すればよいか

まず、使っている協会の最新版が出ていないかを確認してください。改定されていればそれに差し替えるのが確実です。最新版でも差がある場合は、条文の内容を満たすように自社で補います。運転者等台帳の記載事項そのものは、別の記事で整理しています。

改定を見落とさないための確認先

  • 加入している都道府県トラック協会・適正化事業実施機関の帳票ページ
  • 管轄の運輸支局・運輸局のお知らせ
  • 整備管理者の選任後研修(事業用の整備管理規程は、研修を受けたときに補助者へ指導教育を行うことになっています)

よくある質問

Q. 運行管理規程と整備管理規程は、1つの規程にまとめてよいですか。

A. 根拠となる法令も、定める主体も違うため、別々に用意するのが基本です。運行管理規程は貨物自動車運送事業輸送安全規則第21条にもとづき事業者が定め、整備管理規程は道路運送車両法施行規則第32条第2項にもとづき整備管理者が定めます。協会が配布している様式も、それぞれ別のファイルになっています。

Q. どの版をダウンロードすればいいですか。

A. 実施する点呼の方式で決まります。対面のみなら基本の版、IT点呼や遠隔点呼、自動点呼を行うなら、それに対応した版が必要です。協会によって配布方式が違い、完成版を複数配る方式と、基本形に追加条文を足す方式があります。加入している協会の様式で統一してください。

Q. 制定日には何を書きますか。

A. 自社がその規程を定めた日を書きます。配布されているファイル名に「最終改定日」として日付が入っていることがありますが、これは協会がひな形を直した日であって、自社の制定日ではありません。

Q. 末尾にある「実施の期日」とは何ですか。

A. その規程を実際に適用し始める日です。制定日と同じ日にすることも、周知期間を置いて後の日にすることもできます。条文にどちらの決め方も定められていませんが、空欄のままにしないでください。

Q. 整備管理規程は誰が作るのですか。

A. 整備管理者です。道路運送車両法施行規則第32条第2項が「整備管理者は、前項に掲げる事項の執行に係る基準に関する規程を定め、これに基づき、その業務を行わなければならない」と定めています。運輸局が配布している様式の表紙に整備管理者名の欄があるのも、このためです。なお、規程の改正や廃止をするときは代表者と十分調整することとされています。

Q. 整備管理規程を作っていないとどうなりますか。

A. 整備管理者の解任命令の事由に、整備管理規程に基づく業務を適切に行っていなかった場合と、整備管理規程の内容が実際の業務に即していない場合が挙げられています。規程を作っていない場合だけでなく、作ったが運用していない場合や、運用と中身が合っていない場合も対象になります。

Q. 事業用と自家用の整備管理規程は何が違いますか。

A. 事業用版は運行管理者との連携が軸になっています。日常の連携、不良箇所があったときの連絡、車両故障に関係する事故の連絡がいずれも運行管理者を相手方としており、日常点検表の確認欄も運行管理者になっています。また事業用版には整備管理者の研修に関する条文があります。運送事業者は必ず事業用版を使ってください。

Q. ひな形の空欄を埋めれば十分ですか。

A. 足りません。国土交通省は、整備管理規程について、施行規則第32条第1項各号に掲げる事項を形式的に記入等することで事足れりとすることのないよう特に留意すること、タイヤ脱着作業等の自家整備作業についても可能な限り具体的に記述されていることが必要であるとしています。自社の実情に合わせて書き足す必要があります。

参照した根拠・出典を見る

法令

  • 貨物自動車運送事業輸送安全規則 第20条(運行管理者の業務)、第21条(運行管理規程)、第11条(異常気象時等における措置)、第9条の5(運転者等台帳)
  • 道路運送車両法施行規則 第32条(整備管理者の権限等)

国土交通省の資料

  • 「自動車の整備管理について」(国土交通省 物流・自動車局自動車整備課)。整備管理規程に求められる記述の程度、整備管理者の解任命令の事由について参照

様式(2026年8月時点で配布されているもの)

  • 大阪府トラック協会 運行管理規程【最終改定日:令和7年8月15日】および追加条文(IT点呼・遠隔地IT点呼/遠隔点呼/業務前・業務後自動点呼)
  • 神奈川県貨物自動車運送適正化事業実施機関 自動点呼ありの運行管理規程【令和7年11月改訂】および配布ページの注意書き
  • 国土交通省「整備管理規程の例(事業用)」(参考1)
  • 運輸局が掲載している整備管理規程(例) 事業用(グループ企業委託)および自家用。第9章で挙げた保存期間・大型車の車輪脱落事故防止・研修に関する条文は、このうち運輸局の新しい例にもとづくものです

この記事で確認しきれなかった点

  • 運行管理規程・整備管理規程を運輸支局へ届け出る必要があるかどうか。条文上の規定を確認できていないため、この記事では扱っていません。管轄の運輸支局にご確認ください
  • 様式の条文の細部は協会によって異なります。この記事で挙げた条番号は、参照した様式のものです

法令・資料は2026年8月時点で確認したものです。制度は改正されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断を保証するものではありません。

規程の整備でお困りの方へ

そら行政書士事務所では、運行管理規程・整備管理規程の内容確認と作成のお手伝い、点呼の方式を変えるときの条文の追加、巡回指導に向けた帳票の整備をお受けしています。許可を取ったあとの手続き全般は運送業を営んでいる方向けのページをご覧ください。

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この記事を書いた人

行政書士 田丸浩史(登録番号 26261852)/そら行政書士事務所
〒562-0014 大阪府箕面市萱野2-6-8-203
TEL 070-8556-0921/Email tamaru@sora-gyosei.com

大阪府箕面市を拠点に、一般貨物自動車運送事業の許可申請と、変更届・認可申請・各種報告書といった許可後の手続、役員法令試験対策に取り組んでいます。事業報告書・事業実績報告書の作成と、役員法令試験対策は全国に対応しています。

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この記事を書いた人

田丸 浩史のアバター 田丸 浩史 行政書士

大阪府箕面市を拠点とする行政書士。運送業を専門とし、新規許可から各種変更届出・法令試験対策まで大阪府全域に対応。

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