Gマークを取ると何が変わるのか。よく挙げられるのが「違反点数が2年で消える」「IT点呼ができる」「特殊車両通行許可が4年になる」の3つです。いずれも実在する効果ですが、それぞれGマーク以外にも満たすべき条件が通達で定められています。条件を知らないまま取得すると、期待した効果が使えないことがあります。この記事では、3つの効果の根拠と適用条件、そして有効期間が2年から4年へ延びていく仕組みを、通達と申請案内で確認しながら整理します。
この記事の要点
- Gマークの認定は営業所単位。会社単位ではない。貨物軽自動車運送事業は対象外。
- 有効期間は新規2年・初回更新3年・2回目以降4年。6回目更新(20年)でゴールドGマークが使える。
- 違反点数の消滅が3年から2年に早まるが、通達が求めるのは4つの条件のいずれにも該当すること。Gマークはそのうちの1つの選択肢。
- GマークがあるとIT点呼・遠隔地IT点呼・他営業所点呼・グループ企業間点呼の4つが使える。遠隔点呼はGマークを要件としない。
- 特殊車両通行許可の最長4年は、ETC2.0・違反なし・Gマークの3要件すべてを満たす場合。
Gマークの認定を受けると何が使えるようになるか
Gマークは通称で、正式には「貨物自動車運送事業安全性評価事業」による「安全性優良事業所」の認定です。国土交通大臣が指定した全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(公益社団法人全日本トラック協会)が評価し、認定します。2003年7月に始まった制度です。
認定を受けた事業所には、次の3つが与えられます。
認定によって得られるもの
1.認定証の授与
評価結果とともに認定証が交付されます。
2.認定マーク・認定ステッカー・認定ワッペンの使用
一般貨物自動車運送事業および特定貨物自動車運送事業に係る車両への貼付等に、認定の有効期間内に限り使用が認められます。
3.全日本トラック協会ホームページでの公表
事業所名・住所・電話番号が公表されます。事業所からの希望により、主な輸送品目の掲載と、認定事業所のホームページへのリンクも行われます。
つまりGマークは、補助金のように直接お金が入る制度ではなく、「安全性を第三者が評価した」という事実を対外的に示せるようになる制度です。そのうえで、次章以降で見るように、法令上の取扱いでいくつかの優遇が用意されています。
認定されるのは会社ではなく営業所です
Gマークの評価は事業所(営業所)を単位として行われます。本社営業所が認定されても、同じ会社の他の営業所が自動的に認定されるわけではありません。営業所ごとに申請し、営業所ごとに評価されます。
そのため、認定ステッカーを貼れるのは認定を受けた営業所に配置されている車両です。全社の車両に貼れるものではない点にご注意ください。
また、評価の対象となるのは一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の事業所です。貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)は対象から除かれています。
国土交通省は制度の概要として、Gマーク認定事業所の事故割合は未取得事業所に比べて半分以下であると公表しています。令和7年12月末現在で、認定は29,206事業所(全事業所の34.4%)、772,298台(全事業用トラックの52.5%)に及んでいます。事業所数では3分の1ほどですが、車両数では半数を超えており、規模の大きい事業所ほど取得が進んでいることがうかがえます。
有効期間は2年から始まり、更新のたびに延びる
Gマークの認定には有効期間があり、期間が満了する年に更新申請をしなければ失効します。この有効期間は一律ではなく、更新を重ねるごとに長くなる仕組みです。
| 申請の種別 | 有効期間 | 2025年認定の場合 |
|---|---|---|
| 新規認定事業所 | 2年間 | 2026年1月1日〜2027年12月31日 |
| 初回更新事業所 | 3年間 | 2026年1月1日〜2028年12月31日 |
| 2回目更新事業所 | 4年間 | 2026年1月1日〜2029年12月31日 |
| 3回目更新事業所 | ||
| 4回目更新事業所 | ||
| 5回目更新事業所 |
認定期間は暦年で区切られ、認定された年の翌年1月1日から始まります。申請は毎年7月、認定の発表はその年の12月中旬です。評価結果は申請事業所あてに郵送で通知され、認定された事業所は全日本トラック協会のホームページで公開されます。申請から認定期間の開始まで半年ほどの間があります。
更新のたびに期間が延びるため、長く続けるほど申請の頻度は下がっていきます。新規取得の翌々年に初回更新、その3年後に2回目更新、以降は4年ごとという間隔です。
6回目の更新でゴールドGマークになります
2023年度より、6回目の更新を迎える事業所については、20年もの長きにわたり安全運行の実績を積み上げてきたことから、「長期安全認定事業所」として認定され、ゴールドGマークを使用できるようになりました。
新規(2年)→初回更新(3年)→2回目以降は4年ごとという間隔で数えると、6回目の更新に到達するまでには20年前後を要します。認定を一度も切らさずに続けた事業所だけが使えるマークです。
違反点数の消滅が3年から2年に早まる
Gマークのメリットとして最もよく挙げられるのが、違反点数の消滅が早まるという点です。まず前提となる違反点数制度から確認します。
トラック運送事業者が法令違反により自動車等の使用停止処分を受けると、処分日車数10日車までごとに1点の違反点数が付されます。違反点数は営業所に対して付され、事業者ごとに管轄区域(地方運輸局の管轄区域)単位で累計されます。累計が一定に達すると事業停止処分や許可の取消処分に進みます。この仕組みの詳細は運送業の行政処分の記事で整理していますので、あわせてご覧ください。
この違反点数について、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成21年9月29日付け国自安第73号ほか。令和7年2月28日一部改正、令和7年4月1日施行)の3(4)は、次のように定めています。
通達3(4)が定める違反点数の消滅
違反点数の累計期間は3年間とし、行政処分を行った日から3年を経過する日をもって当該違反点数は消滅する。
ただし、行政処分を受けた営業所が、次の①から④までのいずれにも該当する場合にあっては、当該行政処分を行った日から2年を経過する日をもって、当該違反点数は消滅する。
ここで重要なのが、「①から④までのいずれにも該当する場合」という書き方です。4つすべてを満たす必要があります。その4つを見てみます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 当該行政処分を行った日以前の2年間において行政処分を受けていない、又は当該行政処分に係る違反行為を行った日において安全性優良事業所に認定されていること |
| ② | 当該行政処分に係る所要の措置が履行されており、当該行政処分を行った日から2年間、行政処分を受けていないこと |
| ③ | 当該行政処分を行った日から2年間、自動車事故報告規則第2条第3号に規定する事故(運転者等が第一当事者と推定されるものに限る)を引き起こしていないこと |
| ④ | 当該行政処分を行った日から2年間、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転、無免許運転、酒気帯び運転、過労運転、又は大型自動車等無資格運転がないこと |
Gマークが登場するのは①だけで、しかも①のなかでも「2年間処分を受けていない」との選択肢の一方です。②③④は、Gマークの有無にかかわらず別途満たす必要があります。
「Gマークがあれば2年で消える」という説明にご注意ください
解説記事のなかには、Gマークのメリットとして「違反点数が3年ではなく2年で消える」とだけ書かれているものがあります。制度の方向としては誤りではありませんが、条件を落とした説明です。
通達が求めているのは①〜④のすべてです。Gマークを持っていても、処分後2年の間に別の処分を受ければ②に該当せず、重大事故を起こせば③に該当せず、悪質違反があれば④に該当しません。処分を受けた後の2年間を無事故無違反で過ごすことが実質的な条件であり、Gマークはその入口の要件を1つ免除するものだと理解するのが正確です。
もう1つ、見落とされやすい規定があります。同通達の3(5)は、行政処分を受けた営業所の廃止があったときは、この2年短縮の規定を適用しないと定めています。処分を受けた営業所を閉じることで点数を早く消すことはできない、という趣旨です。
なお、①の書き方にも注意が必要です。Gマークの認定は「違反行為を行った日」において受けている必要があります。処分を受けてから慌てて申請しても、この条件には当てはまりません。日ごろから認定を維持していることが前提になっています。
IT点呼ができる|離れた車庫や早朝・深夜の点呼が変わる
点呼は原則として対面で行わなければなりません。運行上やむを得ない場合に限り、電話その他の方法が認められます。ここで問題になるのが、「運行上やむを得ない場合」の範囲が狭いことです。
車庫が離れていても、電話点呼は認められません
解釈通達は、「運行上やむを得ない場合」を遠隔地で業務を開始または終了するため、運転者が所属する営業所で対面点呼を実施できない場合等とし、次の2つはこれに該当しないと明記しています。
- 車庫と営業所が離れている場合
- 早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合
つまり、車庫が営業所から離れていても、運行管理者を車庫へ派遣するなどして対面点呼を確実に実施することが求められます。早朝・深夜だから電話で済ませる、ということもできません。
この負担を軽くするのがIT点呼です。貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条は、対面による点呼と同等の効果を有する方法として国土交通大臣が定める方法を認めており、その1つが「輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」においてカメラ・ディスプレイ等を備えた点呼機器で行う点呼です。解釈通達は、この「優良であると認められる営業所」を安全性優良事業所(Gマーク営業所)と定義しています。
Gマークがあると、点呼の手段が4つ増えます
| 名称 | どういう点呼か | 効果 |
|---|---|---|
| IT点呼 | 同一事業者内のGマーク営業所で、営業所間・営業所と車庫間・車庫と車庫間を点呼機器で結ぶ | 対面点呼として扱われる |
| 遠隔地IT点呼 | 2地点間を定時で運行するなど定型的な業務形態にある運転者が、遠隔地で他のGマーク営業所の運行管理者から点呼機器で受ける | 補助者との「電話その他の方法」による点呼に代えられる |
| 他営業所点呼 | 同じ運転者が、他のGマーク営業所の運行管理者から対面で受ける | 同上 |
| グループ企業間点呼 | 同一敷地内に営業所があるグループ企業(資本関係のあるもの)で、一のGマーク営業所の運行管理者が閑散時間帯(連続8時間以内・原則深夜早朝)に対面で行う | 補助者との「対面」による点呼に代えられる |
いずれも同一事業者内(グループ企業間点呼は資本関係のあるグループ企業)が前提で、相手方もGマーク営業所である必要があります。なお、これらの方法で他の営業所の点呼を行っても、運行管理者の兼務には当たらないと通達に明記されています。
どのような機器で、どのように行うのか
IT点呼に使う機器は、通達で機能が定められています。テレビ電話をつなげばよい、というものではありません。
点呼機器に求められる機能
1.その営業所が管理する点呼機器であること
実施する側も受ける側も、それぞれ自分の営業所が管理する機器を使います。運転者が個人のスマートフォンで受ける、といった形は想定されていません。
2.カメラ・ディスプレイ等を備えていること
運行管理者が、運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時確認できることが求められます。
3.酒気帯びの測定結果が自動的に記録・保存されること
アルコール検知器の測定結果が、人の手を介さずに記録される必要があります。
4.運行管理者がその測定結果を直ちに確認できること
測定した数値が、離れた場所にいる運行管理者の画面にその場で表示される、という仕組みです。
3と4があるため、運転者が自分で測って口頭で報告する形は認められません。測定結果が自動で運行管理者側に届くことが、IT点呼の要になっています。
実施のときは、まず運転者が所属する営業所名と、その運転者がいる場所を確認します。そのうえで、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足等の状況、日常点検の状況といった規則第7条が定める事項を確認し、必要な指示を行います。ここは対面の点呼と変わりません。
手間が増えるのは記録のほうです。営業所間でIT点呼を行った場合、点呼簿への記録と保存を双方の営業所で行い、実施した側は原則として翌営業日以内に、受けた側の運行管理者へ内容を通知します。通知を受けた側は、実施営業所の名称・実施者の氏名・通知の内容を点呼簿に記録します。また、受ける側の運行管理者は、適切な点呼が行えるようあらかじめ必要な情報を実施側に伝えておくことも求められます。
これらの取扱いは運行管理規程に明記し、運行管理者・運転者などの関係者に周知する必要があります。導入は機器をそろえて終わりではなく、規程の整備までがセットです。
IT点呼で結べる範囲
IT点呼でどことどこを結べるかは、Gマークの有無で変わります。
時間制限は見落とされやすい点です。IT点呼の実施は1営業日のうち連続16時間以内とされています。ただし、営業所と当該営業所の車庫の間、および当該営業所の車庫どうしの間で実施する場合は、この制限がありません。24時間稼働の事業所が営業所と車庫を結ぶ使い方であれば、時間を気にせず使えるということです。
Gマークがなくても、営業所と自社の車庫の間ならできる場合があります
解釈通達には、Gマーク営業所でなくても、次の4つのいずれにも該当する営業所は、営業所と当該営業所の車庫の間で行う点呼に限り、Gマーク営業所と同等に扱うという規定があります。
- ① 開設されてから3年を経過していること
- ② 過去3年間、所属する運転者が自らの責に帰する事故報告規則第2条の事故を発生させていないこと
- ③ 過去3年間、点呼の違反に係る行政処分または警告を受けていないこと
- ④ 直近の巡回指導において、総合評価が「D、E」以外であり、点呼の項目の判定が「適」であること(巡回指導時に「D、E」または点呼が「否」だった場合も、3か月以内に改善報告書が提出され「A、B、C」かつ点呼が「適」に改善されていればよい)
「巡回指導でA・B・C評価なら」という条件が出てくるのはここです。Gマークの認定基準とは別の話ですので、混同しないようご注意ください。
この場合に結べるのは自社の営業所と自社の車庫の間だけです。営業所どうしを結ぶには、やはりGマークが必要になります。
遠隔点呼・自動点呼との違い
混同されやすいのが遠隔点呼です。名前も仕組みも似ていますが、根拠も要件も異なります。
| IT点呼 | 遠隔点呼 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 安全規則第7条と解釈通達 | 点呼告示(令和5年国土交通省告示第266号) |
| Gマーク | 必要 | 不要 |
| 運行管理者等の場所 | 自らの営業所または車庫 | 所属する営業所または車庫 |
| 運転者等の場所 | 自らの営業所または車庫 | 所属する営業所・車庫のほか、事業用自動車内・待合所・宿泊施設等も可 |
| なりすまし防止 | 定めなし | 生体認証等による識別が必要 |
| 手続 | 実施予定日の原則10日前までに報告書 | 実施予定日の10日前までに届出(別会社との実施は2か月前に許可申請) |
解釈通達は、対面による点呼と同等の効果を有する方法として、点呼告示に規定する遠隔点呼・業務前自動点呼・業務後自動点呼と、Gマーク営業所におけるIT点呼を並列に掲げています。遠隔点呼と自動点呼はGマークを要件としていません。
使い勝手の面では、遠隔点呼のほうが運転者が点呼を受けられる場所が広いのが特徴です。IT点呼は営業所か車庫でなければなりませんが、遠隔点呼は事業用自動車の車内や待合所・宿泊施設でも受けられます。そのかわり、遠隔点呼の機器には顔認証や指紋認証などの生体認証でなりすましを防ぐ機能が求められ、しかも点呼のたびに認証が必要です。
「Gマークがないと遠隔で点呼できない」わけではありません
IT点呼と遠隔点呼を区別せずに「Gマークがあれば遠隔で点呼ができる」と説明されることがありますが、遠隔点呼はGマークを要件としていません。遠隔での点呼を導入したいという理由だけでGマークを目指す必要は、必ずしもありません。
どちらの制度によるかで、必要な機器も手続も変わります。IT点呼を始める場合は、実施営業所と被実施営業所を管轄する運輸支局長等へ、実施予定日の原則10日前までに報告書を提出することとされています。導入を検討される場合は、どちらの制度によるものかを最初に確認してください。
特殊車両通行許可の有効期間が最長4年になる
一般的制限値を超える車両で道路を通行するには、道路管理者の特殊車両通行許可が必要です。この許可の有効期間は、通常は最長2年間です。
平成31年4月から、一定の要件を満たす優良事業者については、この有効期間が最長4年に延長されました(超重量・超寸法の車両については最長1年から最長2年へ)。
その要件は次の3つです。
有効期間が延長される3つの要件
1.過去2年間で、特殊車両通行許可に係る違反による警告等を受けたことがないこと(今後、2年を超える期間で許可を受けた事業者は、当該期間が対象)
2.業務支援用ETC2.0車載器を装着し、その情報を登録していること
3.Gマーク(安全性優良事業所)の認定を受けていること
3つすべてを満たす車両が対象です。Gマークを取得しても、業務支援用ETC2.0車載器を装着・登録していなければ延長されません。
この点も、「Gマークがあれば特車許可が4年になる」とだけ紹介されることの多い部分です。実際にはETC2.0車載器の導入という設備投資が前提になりますので、特車許可の期間延長を目的にGマークを検討される場合は、車載器の導入状況とあわせて判断してください。
そのほかの効果と、確認しておきたいこと
ここまでの3つが、法令や通達で根拠を確認できる主な優遇です。これに加えて、制度の要件そのものにGマークが組み込まれているものがもう1つあります。
特定技能外国人(自動車運送業分野)の受入れ要件を満たせます
2024年3月に自動車運送業が特定技能の対象分野に追加され、トラックドライバーとして外国人を受け入れられるようになりました。この受入れ事業者側の要件に、Gマークが登場します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営していること |
| 2 | 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員となること |
| 3 | 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けていること、または全日本トラック協会の「Gマーク制度」に基づく認定を受けた安全性優良事業所を有していること |
Gマークがなければ受け入れられない、というわけではありません
3つ目の要件は選択制です。働きやすい職場認証制度の認証を受けていれば、Gマークがなくても要件を満たします。「特定技能を使うにはGマークが必須」という説明を見かけることがありますが、正確ではありません。
すでにGマークの認定を受けている営業所を持っているなら、この要件については追加で何かを取得する必要がない、というのが正しい理解です。なお、Gマーク制度による取得はトラック分野のみとされています。
逆に、貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)のみを行っている事業者は注意が必要です。国土交通省のQ&Aでは、貨物軽自動車運送事業のみを行っている事業者は働きやすい職場認証制度の認証もGマーク制度の認定も対象外であるため、特定技能外国人を受け入れることはできないとされています。どちらの制度も軽貨物を対象にしていないため、3つ目の要件を満たしようがない、という構造です。
出典・基準日:国土交通省「特定技能Q&A」(自動車運送業分野)問2・問25/2026年8月時点。制度の詳細や最新の運用は、国土交通省および出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。
このほかにも効果として挙げられるものがありますが、性質が異なるため分けて整理します。
トラック協会の助成事業における優遇
都道府県トラック協会が実施する会員向けの助成事業のなかには、Gマーク認定事業所を優遇するものがあります。ただし助成の内容・金額・条件は協会ごとに異なり、年度によっても変わります。
金額を前提に取得を判断される場合は、必ず所属する都道府県トラック協会の当該年度の案内でご確認ください。他県の事例や過去の年度の情報がそのまま当てはまるとは限りません。
もう1つ、荷主からの評価という側面があります。Gマークは全日本トラック協会のホームページで事業所名が公表される制度ですので、荷主が取引先を選ぶ際の判断材料になり得ます。ただし、これが実際に受注につながるかどうかは荷主や業種によって異なり、一律に効果を示せるものではありません。当事務所として「Gマークを取れば仕事が増える」と申し上げることはできません。
むしろ確実に言えるのは、評価項目そのものが日常の安全管理の内容と一致しているという点です。100点の内訳は、巡回指導の結果から決まる40点、事故と行政処分の実績による40点、そして安全教育や会議、健康管理といった自主的な取組を申告する20点です。評価基準の詳細で見るとおり、いずれも新たに何かを始めるというより、日常の運行管理がそのまま点数になる設計です。Gマークを目指す過程は、そのまま日常の運行管理を点検する作業になります。
認定が続かなくなるのはどんなときか
Gマークは一度取れば永続するものではありません。認定が続かなくなる場面を整理します。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 更新しなかった | 有効期間の満了により失効する |
| 重大事故を起こした | 有責の第一当事者となる事故がある場合は認定されない |
| 行政処分が重なった | 累積点数が20点以上になると当該項目が0点となり、基準点を満たせない |
| 届出・報告に漏れがあった | 認可申請・届出・報告事項が適正になされていることが認定要件 |
| 社会保険等に未加入 | 社会保険等の加入が適正になされていることが認定要件 |
とくに注意していただきたいのが、事故の扱いです。2025年度申請分の案内では、対象期間内に有責の第一当事者となる自動車事故報告規則第2条各号の事故がある場合は0点とされたうえで、「有責となる第一当事者の事故がある場合は認定されません」と明記されています。減点にとどまらず、認定そのものに至らないという扱いです。
行政処分については、違反(行政処分)の実績が20点満点で、累積点数が20点以上の場合は0点、20点未満の場合は20点から累積点数を引いた点数が加点されます。事故で0点、行政処分でも大きく減点されると、この評価項目の基準点数21点に届きません。
報告書の提出漏れでも認定されません
認定要件には「法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること」が含まれており、申請案内のチェックシートには次の2つが並んでいます。
- 事業報告書は毎事業年度の経過後100日以内に提出されているか
- 事業実績報告書は毎年7月10日までに提出されているか
このほか、営業所・車庫の位置や収容能力の変更、配置する事業用自動車の種別・数の変更、役員の変更、運行管理者・整備管理者の選任の届出なども対象です。認可・事前届出・事後届出の区分を取り違えたまま放置していると、ここで引っかかります。
チェックシートの項目のうち1つでも「No」がある場合は認定されない、と案内には記載されています。
なお、不正な申請等があった場合には、申請の却下・評価の取消・認定の取消といった措置が定められており、その後一定期間は申請ができなくなります。認定証や認定ステッカー等の偽造・変造・不正使用についても同様の取扱いが定められています。
よくある質問
Gマークの有効期間は何年ですか。
新規認定は2年間、初回更新は3年間、2回目以降の更新は4年間です。認定期間は認定された年の翌年1月1日から始まり、12月31日で終わります。2023年度からは6回目の更新を迎える事業所が「長期安全認定事業所」として認定され、ゴールドGマークを使用できるようになりました。数値は2025年度申請分の申請案内によるものですので、申請の際は当該年度の案内をご確認ください。
Gマークがあれば違反点数は必ず2年で消えますか。
必ずではありません。行政処分等の基準3(4)は、違反点数の累計期間を原則3年としたうえで、4つの条件のいずれにも該当する場合に2年で消滅すると定めています。安全性優良事業所であることは、そのうち1つ目の条件の選択肢の一方です。ほかに、処分後2年間に行政処分を受けていないこと、所要の措置が履行されていること、2年間重大事故を起こしていないこと、2年間に救護義務違反や酒気帯び運転などがないことが必要です。また、処分を受けた営業所を廃止した場合はこの短縮規定は適用されません。
IT点呼と遠隔点呼は何が違いますか。
要件が異なります。IT点呼は貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条にいう「輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所」で行うもので、解釈通達によりこれは安全性優良事業所を指すとされています。一方の遠隔点呼は点呼告示にもとづく制度で、Gマークは要件になっていません。また、IT点呼には1営業日のうち連続16時間以内という制限がありますが、営業所と当該営業所の車庫の間で行う場合はこの制限がありません。どちらの制度によるかで必要な機器や手続が変わりますので、導入前にご確認ください。
Gマークがあれば特殊車両通行許可は4年になりますか。
Gマークだけでは延長されません。有効期間が最長4年に延長されるのは、過去2年間に特殊車両通行許可に係る違反による警告等を受けていないこと、業務支援用ETC2.0車載器を装着してその情報を登録していること、Gマークの認定を受けていることの3つをすべて満たす場合です。超重量・超寸法の車両については最長1年から最長2年への延長となります。
本社の営業所が認定されれば、他の営業所でもGマークを名乗れますか。
名乗れません。Gマークの評価と認定は事業所(営業所)を単位として行われるため、営業所ごとに申請して認定を受ける必要があります。認定ステッカー等を貼付できるのも、認定を受けた営業所に配置されている車両です。なお、貨物軽自動車運送事業は評価の対象から除かれています。
事故を起こすとGマークは取れなくなりますか。
対象期間内に、事業所の事業用自動車が有責の第一当事者となる自動車事故報告規則第2条各号に定める事故があった場合は、申請案内において認定されないと明記されています。評価項目上も、事故の実績は該当がなければ20点、ある場合は0点という配点です。対象期間は年度によって定められており、2026年度申請分では2023年12月1日から2026年11月30日までに発生した事故が提出の対象とされています。
参照した根拠・出典を見る
本記事は、2026年8月4日に次の一次情報で確認した内容にもとづいています。制度や運用は改正されることがありますので、実際の判断にあたっては最新の情報をご確認ください。
- 公益社団法人全日本トラック協会「2026年度 貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)申請案内」(申請スケジュール・認定の発表時期)
- 公益社団法人全日本トラック協会「Gマーク制度について(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」(2025年度申請分の申請案内。有効期間・認定要件)
- 国土交通省「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成21年9月29日付け国自安第73号・国自貨第77号・国自整第67号、令和7年2月28日一部改正、令和7年4月1日施行)3(4)、3(5)
- 国土交通省 自動車総合安全情報「行政処分の基準」
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則 第7条
- 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(平成15年3月10日付け国自総第510号・国自貨第118号・国自整第211号。令和8年6月26日最終改正)第7条
- 「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示」(令和5年国土交通省告示第266号)
- 国土交通省「遠隔点呼・自動点呼 解説パンフレット」(令和7年11月発行)
- 公益社団法人全日本トラック協会「特殊車両通行許可における優良事業者の有効期間の延長について」
- 国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」(認定事業所数は令和7年12月末現在)
- 自動車事故報告規則 第2条
認定要件・配点・有効期間は2025年度申請分、申請スケジュールと認定の発表時期は2026年度申請分の申請案内によるものです。評価項目および配点は年度により見直される場合がありますので、申請にあたっては全日本トラック協会が公表する当該年度の申請案内をご確認ください。
助成事業における優遇の有無・内容は都道府県トラック協会ごとに異なります。本記事では個別の金額・条件は記載していません。
本記事は制度の一般的な説明であり、個別の事案についての判断を示すものではありません。
Gマークの取得に向けた準備をお手伝いします
Gマークの評価100点のうち40点は、トラック協会が行う巡回指導の結果から決まります。巡回指導38項目のうち25項目の適否がそのまま配点になる仕組みで、点呼・運転日報・指導監督・定期点検・健康診断といった日々の記録が点数を左右します。しかも巡回指導のあとで改善しても加点されません。
そら行政書士事務所では、Gマークの取得を目指す事業者様に、認定要件となる届出・報告事項の点検と漏れている手続の作成・提出、事業報告書・事業実績報告書の作成(全国対応)、巡回指導に向けた帳票の整備、自認項目で得点できる取組の整理といったお手伝いをしています。
Gマークを実際に目指すとなると、どの項目でどう点を取るかが課題になります。評価Ⅲの20点は、同じ取組でも記録の形が判断基準に合っていなければ加点されません。具体的な点の取り方については、個別にご相談ください。
大阪府箕面市を拠点に、一般貨物自動車運送事業の許可申請と許可後の各種手続に取り組んでいます。「そろそろGマークを検討したい」という段階でも、まずはご相談ください。
支援の内容と料金は、Gマーク取得支援のご案内にまとめています。
